こちらでは水銀に関連する情報をご提供しています。

水銀の物性
イトムカ鉱業所で回収・リサイクルされる水銀ですが、他の金属にはない特殊な性質を持っています。常温・常圧で液体である唯一の金属元素で、銀白色に輝いています。比重は13.53で鉄(7.85)よりも重いので、鉄のボルトなどを金属水銀に入れると、まるで水に浮く木片のように水銀の上に浮かびます。

主な性質

水銀

銀白色液体 (常温において唯一の液状金属)
無臭
原子量 200.59
比重 13.53(20℃)
融点 -38.84℃
沸点 356.58℃
表面張力 470mN/m

液体で最も高い

 

自然水銀

水銀のような沸点の低い金属は、溶岩が冷え固まっても気体のまま岩石や断層の割れ目に侵入し上昇しながら冷却されていくために地表近くに分布しています。水銀は常温常圧では液体であるため、自然水銀は辰砂(しんしゃ)(※1)の鉱脈表面から汗状に吹き出したり、鉱石表面の空隙に水滴状に付着しています。

辰砂(しんしゃ)HgS
辰砂 辰砂

  • ※1 辰砂とは赤色で、赤の顔料の原料として古くから利用されています。 国内で丹(に・たん)のつく地名はいずれも丹砂(タンシャ=硫化水銀)の産地であることを示します。朱砂や丹朱とも呼ばれます。

水銀の有害性
有機水銀と無機水銀では有害性が異なります。
項目 水銀元素 無機水銀塩 有機水銀
暴露 水銀蒸気など 塩化第二水銀など メチル水銀化合物など
吸収経路

(吸収率)

80%

消化管

(2~10%)

消化管(>90%)

肺(80%)

主な排泄経路

(排泄率)

便(<50%)

尿(>50%)

便(50%)

尿(>50%)

便(>80%)

尿(<10%)

標的臓器 肺(高濃度急性暴露)

脳(低濃度慢性暴露)

腎臓 毛髪

その他 体温計1本分を誤飲しても消化管での吸収はほとんどなく、2~3日中に便中に排泄。 脂溶性が低いので 消化管から吸収されにくく、血液脳関門も通過しにくい。 脂溶性のため吸収されやすい。

無機水銀 Inorganic Mercury

  • 塩化第一水銀
  • 酸化水銀
  • ヨウ化第二水銀
  • 塩化第二水銀
  • 硫化水銀
  • 硝酸第二水銀
  • 硫酸第二水銀
  • アマルガム

有機水銀 Organic Mercury

水銀原子に炭化水素(炭素と水素)が化合した物

  • 塩化メチル水銀
  • 塩化エチル水銀
  • 酢酸フェニル水銀
  • アルキル水銀(メチル水銀、エチル水銀)
水銀の用途

水銀は常温で液体であること、比重が大きいこと、金属と合金を作りやすいこと等から、昔から様々な分野で有用な物質として扱われてきました。奈良の大仏を建立するとき、金メッキを施すのに大量の水銀が使用されたり、朱色の顔料としても古くから使用されています。また、ひと昔前は苛性ソーダ製造用の電極として水銀の需要がありました。(今は水銀法による製造は国内で行われていません。)その他、俗に「赤チン」と呼ばれた消毒薬はマーキュロクロムといい、これは水銀の持つ殺菌作用を利用したものです。近年、公害問題への配慮から水銀の利用は減りましたが、現在でも蛍光ランプから高級朱肉等多くの分野での利用があります。

現在の主な使用用途

水銀に関する水俣条約

水俣条約の背景

「水銀及び水銀化合物の人為的な排出から人の健康及び環境を保護すること」を目的とした「水銀に関する水俣条約」が2013年10月に採択され、批准国が50カ国に達した90日後の2017年8月16日に発効されました。

世界の水銀排出量は年間8,900tになります。水銀を含む岩石の風化や山火事、火山活動による自然発生の部分もありますが、大半が人間の活動によるものとされています。特に排出量が多いのが石炭焼却や、職人による小規模金採掘であり、採掘現場だけで世界70か国、1,500万人の児童を含む労働者が日常的に水銀リスクに晒されていると言われています。その他、塩素やプラスチックの製造、研究所や製薬、保存料、塗料、宝石製造にも水銀は使用され、それに携わる人々にも健康リスクの恐れがあります。

我が国においては、有機水銀に起因する環境汚染により引き起こされた水俣病という健康被害と自然環境破壊はその拡がりと深刻さにおいて我が国の歴史上類例がない公害であり、地域社会全体にも長期にわたり大きな負の遺産となりました。

現在の水銀の人為的排出を削減することは、環境中を循環する水銀量を削減するために極めて重要となります。

上記を踏まえ発効された「水銀に関する水俣条約」の目的は、大気中の長距離移動性、環境中での循環・残留性、生物体内蓄積性を有する水銀を世界的に懸念される化学物質として認識し、水銀等の人為的な排出及び放出から人の健康及び環境を保護することにあります。

同条約の発効により、締約国は水銀使用のライフサイクルにおいて法的な責任を負うことになりました。

水銀に関する水俣条約の主な内容
目的 水銀及び水銀化合物の人為的な排出から人の健康と環境の保護。
供給 鉱山からの水銀産出について、条約発効後の新規鉱山開発は禁止。既存の鉱山からの鉱出については、条約発効から15年後に禁止。
貿易 水銀の貿易について、条約上認められた用途や廃棄処分等を目的とするもの以外は2020年以降原則禁止。また輸出にあたっては、輸入国の事前同意が必要となる。
人力小規模金採掘 水銀・水銀化合物の使用の削減。(可能であれば廃絶)
水銀廃棄物 廃棄物からの水銀回収、廃棄物のリサイクル等は、条約上認められる用途又は環境上適正な処分に限定。

水銀廃棄物の国境を越えた移動の禁止。(適正処分を目的とする場合を除く)

保管 条約締結国で決定した指針に基づき適正管理。

水俣条約と国内担保措置等との関係

水俣条約の担保項目 国内法対応 審議会名
廃棄物の管理 廃棄物処理法施行令改正 循環型社会部会

水銀廃棄物適正処理検討専門委員会

廃棄物の管理(廃棄物処理法上の廃棄物に該当しないもの) 水銀による環境の汚染の防止に関する法律制定

(一部鉱業法が該当)

環境保健部会

水銀に関する水俣条約対応検討
小委員会

産業構造審議会WG合同

水銀などによる環境汚染防止に関する計画の策定
水銀採取、水銀等の使用禁止
水銀使用製品製造規制等
水銀等の貯蔵
大気への排出の規制 大気汚染防止法改正 大気・騒音振動部会

水銀大気排出対策小委員会

土壌・水への放出の規制 水質汚濁防止法により担保  
輸出入の規制 外国為替及び外国貿易法政省令改正  

水俣条約上の水銀廃棄物と日本の法律との関連性

水俣条約上の水銀廃棄物と日本の法律との関連性

廃棄物処理法上の分類

水銀廃棄物の分類

廃棄物処理法上の水銀廃棄物の分類は下図の通りです。

当社は廃水銀等(特別管理産業廃棄物処分業)、水銀含有ばいじん等・水銀使用製品産業廃棄物(産業廃棄物処分業)の許可を取得しており、水銀廃棄物全般の処理が可能です。

廃水銀等(特別管理産業廃棄物)

廃水銀等の対象(令第2条の4第5号二、規則第1条の2第5項)

  • ① 以下の特定施設において生じた廃水銀又は廃水銀化合物(水銀使用製品に封入されたものを除く)
  • 水銀もしくは水銀化合物が含まれている物又は水銀使用製品廃棄物から水銀を回収する施設
  • 水銀使用製品の製造の用に供する施設
  • 灯台の回転装置が備えられた施設
  • 水銀を媒体とする測定機器(水銀使用製品を除く。)を有する施設
  • 国又は地方公共団体の試験研究機関
  • 大学及びその付属試験研究機関
  • 学術又は製品の製造若しくは技術の改良、考案若しくは発明に係る試験研究を行う研究所
  • 農業、水産又は工業に関する学科を含む専門教育を行う高等学校、高等専門学校、専修学校、各種学校、職員訓練施設又は職業訓練施設
  • 保健所
  • 検疫所
  • 動物検疫所
  • 植物防疫所・家畜保健衛生所
  • 検査業に属する施設
  • 商品検査業に属する施設
  • 臨床検査業に属する施設
  • 犯罪鑑識施設
  • ② 水銀若しくは水銀化合物が含まれている物(一般廃棄物を除く。)又は水銀使用製品が産業廃棄物となったものから回収した廃水銀
  • ※ 廃水銀等の特別管理産業廃棄物への指定等は、平成28年4月1日から施行済み
  • ※ 原体とみなせるものは廃水銀等、みなせないもの(使用後の試薬を含む廃液)は従来の特別管理産業廃棄物又は水銀含有ばいじん等に該当する。

新たな措置

廃水銀等について、通常の特別管理産業廃棄物の措置に加えて、以下の新たな措置が必要です。

必要な措置
保管・積替え
  1. 飛散、流出又は揮発の防止のための措置
  2. 高温にさらされないための措置
  3. 腐食防止措置をとること
処理の委託
  • 「廃水銀等」の収集運搬又は処分の許可を受けた事業者に委託すること。
  • 委託契約書に「廃水銀等」と記載すること。
  • マニフェストの廃棄物の種類の欄に「廃水銀等」と記載すること。
収集運搬 必ず運搬容器(密閉でき、収納しやすく、損傷しにくい)に収納して収集又は運搬すること。
中間処理 【硫化】
  • 水銀の純度を高めること。(99.9%以上、若しくは残留物が0.1%以下)
  • 産業廃棄物処理施設の許可を受けた硫化施設において粉末硫黄による硫化

【固型化】

  • 改質硫黄による固型化を行うこと(硫化・固型化したものは「廃水銀等処理物」)。
  • 改質硫黄固形物は、「金属等を含む廃棄物の固型化等に関する基準(昭和52年環境庁告示第5号)」に定める強度、大きさ、形状を満たすこと。
最終処分 固型化したもの(廃水銀等処理物)が、埋立判定基準(溶出試験の結果、水銀0.005㎎/L以下)を

満たさない場合⇒遮断型最終処分場で処分すること。
満たす場合  ⇒追加的措置をとった管理型最終処分場で処分することが可。

追加的措置…

  • 処分場の一定の場所において、かつ埋め立てる処理物が分散しないような措置
  • その他の廃棄物と混合するおそれのないよう、他の廃棄物と区分する措置
  • 埋め立てる処理物が流出しないようにする措置
  • 埋め立てる処理物に雨水が侵入しないようにする措置

硫化施設及び最終処分場に関する新たな措置は、以下のとおりです。

廃水銀等の硫化施設
  • 当該地を管轄する都道府県から産業廃棄物処理施設として設置許可を受けることが必要です。
  • 一般的な産業廃棄物処理施設の技術上の基準、維持管理基準に加え、以下の措置が必要となります。
  • ① 技術上の基準:水銀流出及び浸透防止の設備、水銀と硫黄の反応設備(外気と遮断又は負圧管理されたもの)、水銀ガス処理設備をもうけること。
  • ② 維持管理基準:水銀と硫黄を均一に化学反応させること、外気と遮断されていない反応設備の場合は負圧管理すること、水銀ガスによる生活環境保全上の支障を防止すること。
廃水銀等を埋め立てた最終処分場
  • 一般的な維持管理基準、廃止基準に加え、以下の措置が必要となります。
  • ① 維持管理基準:埋め立てる処理物の記録及び埋立位置を示す図面を処分場廃止までの間保存すること
  • ② 廃止基準:埋め立てた処理物に雨水が侵入しないよう必要な措置をとること
  • 廃水銀等処理物が埋め立てられた土地の形質変更を行う場合、水銀の溶出による生活環境保全上の支障が生ずるおそれがないよう必要な措置をとること。
  • ※ 一般廃棄物である水銀使用製品廃棄物から回収した廃水銀は特別管理一般廃棄物に該当し、特別管理産業廃棄物と同様の処理基準がかかります。
水銀含有ばいじん等(産業廃棄物)
既存の産業廃棄物のうち水銀又は水銀化合物が一定濃度を超えて含有するばいじん、燃え殻、汚泥、鉱さい、廃酸、廃アルカリがあらたに「水銀含有ばいじん等」と定義され、その区分は下記の表のとおりです。
「水銀含有ばいじん等」(水銀化合物の水銀を含む)の対象
廃棄物の種類 ばいじん、燃え殻、汚泥又は鉱さい 廃酸又は廃アルカリ
廃棄物の内容 水銀(水銀化合物の水銀を含む)を15㎎/kgを超えて含有するもの 水銀(水銀化合物の水銀を含む)を15㎎/Lを超えて含有するもの
水銀回収 1,000㎎/kg以上のものは水銀回収義務あり 1,000㎎/L以上のものは水銀回収義務あり
処理の委託 「水銀含有ばいじん等」の収集運搬、処分の許可を受けた業者に委託すること。
水銀回収は義務付けられているものの処理を委託する場合は、水銀回収が可能な事業者に委託すること。
処分・再生 水銀含有ばいじん等の処分又は再生を行う場合には、水銀又はその化合物が大気中に飛散しないように必要な措置を講ずること。
水銀回収が必要な水銀含有ばいじん等は、焙焼又はその他の加熱工程により水銀を回収すること。
業の許可証 取り扱う廃棄物の種類に「水銀含有ばいじん等」が含まれることが必要です。
※平成29年10月1日時点で、これらの廃棄物を取り扱っている場合、変更許可は不要です。
委託契約書 委託する廃棄物の種類に「水銀含有ばいじん等」が含まれることを明記すること。
マニフェスト 産業廃棄物の種類欄に「水銀含有ばいじん等」が含まれること、また、その数量を記載すること。
廃棄物保管
場所の掲示
産業廃棄物の種類欄に「水銀含有ばいじん等」が含まれることを明記すること。
帳簿 「水銀含有ばいじん等」に係るものであることを明記すること。
特別管理産業廃棄物(水銀化合物の水銀を含む)の対象
廃棄物の種類 ばいじん、燃え殻、汚泥又は鉱さい 廃酸又は廃アルカリ
廃棄物の内容 特定施設から排出されるもので溶出量が0.005㎎/Lを超えるもの 水銀(水銀化合物の水銀を含む)を15㎎/Lを超えて含有するもの
水銀回収 水銀を1,000㎎/kg以上含有する場合焙焼等の方法で水銀回収義務あり 1,000㎎/L以上含有する場合、焙焼等の方法で水銀回収義務あり
委託先 既存の措置に基づく
処分・再生 水銀含有ばいじん等と同じ
水銀使用製品産業廃棄物(産業廃棄物)

水銀使用製品産業廃棄物(産業廃棄物)(令第6条第1項第1号、規則第7条の2の4)

水銀使用製品産業廃棄物に関して以下の新たな措置が必要です。

項目 必要な記載事項等
保管 他の物と混合するおそれのないように仕切りを設ける等の措置をとること。
処理の委託
  • 「水銀使用製品産業廃棄物」の収集運搬又は処分の許可を受けた事業者に委託する事。
  • 水銀回収が義務付けられているものの処理を委託する場合は、水銀回収が可能な事業者に委託すること。
収集・運搬 破砕する事のないよう、また、他の物と混合するおそれがないように区分して収集運搬すること。
処分・再生
  • 水銀又はその化合物が大気中に飛散ないように必要な措置をとること。
  • 水銀回収の対象となる水銀使用製品産業廃棄物については、焙焼設備による焙焼、又は水銀の大気飛散防止措置をとった上で、水銀を分離する方法により、水銀を回収すること。
  • 安定型最終処分場への埋立は行わないこと。
業の許可証 取り扱う廃棄物の種類に「水銀使用製品産業廃棄物」が含まれることが必要です。
  • ※ 平成29年10月1日時点で、これらの廃棄物を取り扱っている場合、変更許可は不要です。
委託契約書 委託する廃棄物の種類に「水銀使用製品産業廃棄物」が含まれることを明記すること。
マニフェスト 産業廃棄物の種類欄に「水銀使用製品産業廃棄物」が含まれること。
また、その数量を記載すること。
廃棄物保管場所
の掲示
産業廃棄物の種類欄に「水銀使用製品産業廃棄物」が含まれることを明記すること。
帳簿 「水銀使用製品産業廃棄物」に係るものであることを明記すること。

 

水銀使用製品産業廃棄物の対象

  • ① 表A、Bの対象製品
  • 表A. 水銀使用の表示の有無によらず対象となる製品
製品 判別方法 水銀回収義務
一次電池    
  • 水銀
品番が「NR」「MR」で始まるもの。  
  • 空気亜鉛電池
品番が「PR」で始まるもの・空気穴が開いているもので、且つ国内メーカーのものであれば、水銀が使用されていると考えられる  
蛍光灯ランプ(※)    
  • 直管形、環形、角形、コンパクト形
(品番が「F」で始まるものを含むすべてのもの)  
  • 電球形蛍光ランプ
(品番が「EF」で始まるものを含むすべてのもの)  
  • 無電極、冷陰極、外部電極
日本照明工業会「事業者向け水銀使用ランプの分別・回収及び排出について」を参照  
HIDランプ(※)、
放電ランプ(※)
日本照明工業会「事業者向け水銀使用ランプの分別・回収及び排出について」を参照  
農薬 包装等に成分の表示あり。昭和48年以降は使用禁止  
気圧計、湿度計、ガラス製温度計、
水銀体温計、握力計
目視で金属水銀の封入が確認可能。
液柱形圧力計、弾性圧力計、
圧力電送器、真空計、

水銀充満圧力式温度計

目盛板又は銘板で情報提供されている例が多い。その他説明書、カタログ、メーカーHPで確認可能。
温度定点セル 説明書等の記載を参照  
顔料    
ボイラ(二流体サイクルに
用いられるものに限る)、

水銀抵抗原器、周波数標準機

特殊品のため水銀含有は自明。  
灯台の回転装置、水銀トリム・
ヒール調整装置、差圧式流量計、

傾斜計

特殊品のため水銀含有は自明。
参照電極 使用目的から水銀含有は自明。  
医薬品    
  • チメロサールを含む医薬品
添付文書に記載。  
  • マーキュロクロムを含む医薬品
有効成分の表示あり。名称からも判別可能。  
  • 塩化第二水銀を含む医薬品
成分表示、名称、又は用途から判別可能。  
水銀等の製剤 毒劇法に基づき包装等に成分の表示あり。  

注)1日本照明工業会「事業者向け水銀使用ランプの分別・回収及び排出について」

注)2ダイアフラム式のものに限る。

表B.水銀が目視で確認できる場合に対象となる製品

製品 判別方法 水銀回収義務
スイッチ及びリレー(※) 目視で金属水銀の封入が確認可能なものがある。
  • ② 表A、Bに掲げる製品を材料又は部品として用いて製造される組込製品(表中の製品名の後に※印がある製品を材料又は部品として用いて製造される組込製品及び顔料が塗布された製品を除く。)

※印の付いている製品が部品等として組み込まれている場合には判断が難しいと考えられるため適用除外(取り出されたものは①の水銀使用製品産業廃棄物の対象となります。)

本区分(②)の対象となる組込製品の例としては、以下があげられます。

製品 判別方法 水銀回収義務
補聴器、銀塩カメラの露出計 水銀電池  
補聴器、ページャー
(ポケットベル)
空気亜鉛電池  
ディーゼルエンジン、医療機器
(ガス滅菌器)、ピクノメータ、引火点試験機
ガラス製温度計
朱肉(ただし、顔料や朱肉が塗布、
捺印等された作品等は対象外。)
顔料  
  • ③ 上記の①②のほか、水銀又はその化合物を使用していることが表示されている製品

 製品本体に水銀が使用されていることを表示する方法としては、以下のようなものがあります。

  • 日本語による表記(水銀)
  • 英語による表記(Mercury)
  • 化学記号(Hg)
  • J-Moss水銀含有マーク(下図は一例)
    J-Moss水銀含有マーク

製品本体に水銀の使用の表示がある場合に水銀使用製品産業廃棄物となるものとしては、以下のような製品があります。

製品 判別方法 水銀回収義務
一次電池    
  • アルカリボタン電池
時計、玩具、歩数計、電卓、防犯ブザー、タイマー、家電リモコン、電子体温計等の医療機器(品番が「LG」から始まる、ボタン形のもの)  
  • 酸化銀電池
時計、電子体温計等の医療機器(品番が「SR」から始まるもの)  
  • マンガン乾電池、アルカリ乾電池
輸入玩具等  
標準電池    
駆除剤、殺生物剤及び
局所消毒剤
   
塗料(酸化第二水銀
を含むもの)
   
拡散ポンプ    
圧力逃し装置    
ダンパ    
X線管    
回転接続コネクター    
赤外線検出素子    
浮ひょう計密度計  
放射線検出器    
積算時間計  
ひずみゲージ式
センサー
 
電量計  
ジャイロコンパス  
   

 

水銀回収が義務付けられる水銀使用製品産業廃棄物

  1. スイッチ及びリレー
  2. 気圧計
  3. 湿度計
  4. 液柱形圧力計
  5. 弾性圧力計(ダイアフラム式のもの)
  6. 圧力伝送器(ダイアフラム式のもの)
  7. 真空計
  8. ガラス製温度計
  9. 水銀充満圧力式温度計
  10. 水銀体温計
  11. 水銀式血圧計
  12. 灯台の回転装置
  13. 水銀トリム・ヒール調整装置
  14. 差圧式流量計
  15. 浮ひょう形密度計
  16. 傾斜計
  17. 積算時間計
  18. ひずみゲージ式センサ
  19. 電量計
  20. ジャイロコンパス
  21. 握力計

これらの水銀使用製品は、液体の金属水銀を含み、機器の破損により金属水銀そのものの漏えいのおそれがあります。

これ以外の水銀使用製品(一次電池、蛍光ランプなど)も水銀の大気排出を抑制するために、焼却や埋立などではなく、水銀回収を行った方が望ましいことは、中央環境審議会の答申、家庭から排出される水銀製品回収ガイドラインにも記載があります。

水銀使用製品産業廃棄物 例

水銀使用製品産業廃棄物 例

一般廃棄物としての水銀使用製品

一般廃棄物に関して

平成27年12月1日環境省より「家庭から排出される水銀使用廃製品の分別回収ガイドライン」が発効されました。

ガイドラインでは水銀汚染防止法は、市町村の義務として「市町村は、その区域の経済的社会的諸条件に応じて、その区域内における廃棄された水銀使用製品を適正に回収するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」(第17条)と定められています。

同ガイドラインにて挙げられている水銀使用製品の対象、対策の概要及び具体例は下記の通りです。

わが国で流通している主な水銀使用製品

主要水銀使用製品 国内製造に用いられる水銀量(2010年)
照明機器(蛍光管、冷陰極蛍光ランプ、HIDランプ) 3.0t
医療用計測機器(血圧計、体温計) 1.9t
工業用計測機器(温度計、圧力計) 0.8t
ボタン電池※ 1.0t

  • ※ 1990年以前に国内で製造された乾電池には水銀が使われており、また海外で生産された乾電池には水銀が含まれている可能性があります。

現在、日本で製造されている乾電池には水銀は使われていませんが、古い乾電池や海外製乾電池をそれ以外の乾電池と区分して回収することは現実的に難しく、また、乾電池に含まれる亜鉛、マンガンなどは資源としての利用価値もあることから、できるだけ乾電池は「乾電池」という区分でまとめて分別回収することが望ましいとされています。

処理・処分及びリサイクル

●対策の概要
  • 分別回収した水銀使用廃製品の焼却処理は行わないようにする(焼却処理の禁止)
  • 中間処理や最終処分等を行う際には環境中に飛散及び流出することがないよう適正に処理する(飛散・流出防止措置)
  • 適正処分を担保するための事項を明確化した契約書を事業者とかわす(事業者の選定)
●対策の具体例

不燃ごみ等として埋立処分がなされたとしてもただちに環境保全上の支障を生ずるおそれは少ないと考えられるが、将来的な環境上のリスクを低減する観点から、大量に処理を行う場合は水銀回収処理を行うことが望ましい。

●最終処分又はリサイクル
  • リサイクルを行う際は、水銀以外の物質についても可能な限りリサイクルすること
  • 処理工程で発生する活性炭フィルター等についても、適正な処理が行われること
  • 水銀回収を行う場合は、必要に応じて毒劇物取扱責任者を設置していること

当社では全国の市町村より排出いただいています使用済み乾電池・蛍光ランプをほぼ100%リサイクルしています。リサイクル品につきましては、水銀、非鉄・製鉄資源やグラスウール、蛍光ランプ用ガラス、セメントの各原料及びガラス工芸品など、様々な用途で使用していただいています。

大気汚染防止法
水銀排出施設(石炭火力発電所、産業用石炭燃焼ボイラー、非鉄金属(銅、鉛、亜鉛、工業金)製造施設、廃棄物焼却設備、セメントクリンカー製造施設)については、設置・構造等の変更の事前届出が必要となるほか、排出基準の遵守、排出ガス中水銀濃度の測定・結果の記録・保存が求められます。また、要排出抑制施設(製銑用焼結炉、製鋼用電気炉)については、自主的取組として自ら遵守すべき基準の作成、水銀濃度の測定・記録・保存、その実施状況及び評価の公表が求められます。

大気汚染防止法の下で、「水銀排出施設」となる施設は次のとおりです。

水俣条約の

対象施設

大気汚染防止法の

水銀排出施設

施設の規模・要件

(以下のいずれかに該当するもの)

排出基準(注1)

(μg /N㎥)

新規施設 既存施設

(注2)

石炭火力発電所産業

用石炭燃焼ボイラー

石炭専焼ボイラー

大型石炭混焼ボイラー

  • 伝熱面積10㎥以上
  • 燃焼能力(注3)50L/時以上
8 10
小型石炭混焼ボイラー(注4) 10 15
非鉄金属(銅、鉛、亜鉛、及び工業金)製造に用いられる精錬及び焙焼の工程 一次施設 銅又は工業金 金属の精錬の用に供する焙焼炉、焼却炉(ペレット焼成炉を含む。)及び焼炉/金属の精錬の用に供する溶鉱炉(溶鉱用反射炉を含む。)、転炉及び平炉:
  • 原料処理能力1t/時以上

    金属の精錬の用に供する溶解炉
    (こしき炉を除く)

  • 火格子面積1㎥以上
  • 羽口面断面積0.5㎥以上
  • 燃焼能力(注3)50L/時以上
  • 変圧器定格容量200kVA以上
    銅、鉛又は亜鉛の精錬の用に供する焙焼炉、焼結炉(ペレット焼成炉を含む。)、溶鉱炉(溶鉱用反射炉を含む。)、転炉、溶解炉及

    び乾燥炉:

  • 原料処理能力0.5t/時以上
  • 火格子面積0.5㎥以上
  • 羽口面断面積0.2㎥以上
  • 燃焼能力(注3)20L/時以上

    鉛の二次精錬の用に供する溶解炉:

  • 燃焼能力(注3)10L/時以上
  • 変圧器定格容量40kVA以上

    亜鉛の回収の用に供する焙焼炉、焼結炉、溶鉱炉、溶解炉及び乾燥炉:

  • 原料処理能力0.5t/時以上
15 30
鉛又は亜鉛 30 50
二次施設 銅、鉛、又は亜鉛 100 400
工業金 30 50
廃棄物の焼却設備 廃棄物焼却炉

(一般廃棄物/産業廃棄物/下水汚泥焼却炉)

  • 火格子面積2㎥以上
  • 焼却能力200kg/時以上
30 50
水銀含有汚泥等の焼却炉等 水銀回収義務付け産業廃棄物(注5)又は水銀含有再生資源(注6)を取り扱う施設(加熱工程を含む施設に限る。)(施設規模による裾切りはなし。) 50 100
セメントクリンカーの製造設備 セメント製造の用に供する焼成炉
  • 火格子面積1㎥以上
  • 焼却能力(注3)50L/時以上
  • 変圧器の定格容量200kVA以上
50 80

(注7)

  • (注1)既存施設であっても、水銀排出量の増加を伴う大幅な改修(施設規模が5割以上増加する構造変更)をした場合は、新規排出基準が適用されます。
  • (注2)施行日において現に設置されている施設(設置の工事が着手されているものを含む。)
  • (注3)バーナーの燃料の燃焼能力を重油換算で表したものです。
  • (注4)バーナーの燃焼の燃焼能力が重油換算10万L/時未満のものです。
  • (注5)水銀回収義務付け産業廃棄物は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令で規定されています。
  • (注6)水銀含有再生資源は、水銀による環境の汚染の防止に関する法律で規定されています。
  • (注7)原料とする石灰石1kg中の水銀含有量が0.05mg以上であるものについては、140μg/Nm3です。
使用済み乾電池焙焼時における排ガスからの水銀回収・除去

当社は入荷した使用済み乾電池を、選別工程での二次電池・異物等の除去後、焙焼処理を行っています。焙焼炉に投入する使用済み乾電池の平均的な水銀含有率は16ppmであり、この焙焼処理時における焙焼炉出口の排ガスの平均水銀濃度は14,100μg/Nm3です。

前述のとおり、廃棄物焼却施設の水銀大気排出基準値は既存施設で50μg/Nm3であり、何も水銀対策を施していない施設では基準値を超過してしまいます。

当社では水銀の自主基準値を40μg/Nm3以下と定め、排ガス中の水銀を水銀除去設備により除去・回収し、排ガスは水銀大気排出基準値である50μg/Nm3(既存施設)よりも低い値で管理を行っています。

使用済み乾電池焙焼時における排ガスからの水銀回収・除去

乾電池のしくみ・蛍光灯のしくみ

乾電池のしくみ

乾電池は、鉄分、二酸化マンガン、亜鉛缶と、この三つが最大構成材料となっており、そのほかに塩化亜鉛、アセチレンブラック、紙、プラスチックなどで構成されています。マンガン乾電池やアルカリ乾電池に使われている負極活物質である亜鉛は、貯蔵中に

  1. 亜鉛の自己放電反応で、電池容量を劣化させます。
  2. 水素ガス発生反応が進行し、発生したガスが電池の内部圧力を上昇させ電解液を漏出させます。

水銀(HgCl2)は、この①・②の反応に対し最大の抑制効果を持つ元素であった為使用されています。

当社にて地方自治体から実態調査を行った所、比較的水銀含有量の多い海外製乾電池が、全体の20%弱を占めている団体もございました。国内製であっても、平成3年以前(水銀0使用になる前)に製造されていましたマンガン電池、アルカリ電池やボタン電池から水銀が検出されたものも確認されています。

野村興産の廃乾電池リサイクルシステムでは焙焼後の構成材料として廃乾電池のほぼ100%のリサイクル率を確保しています。

乾電池のしくみ

蛍光灯のしくみ

点灯すると電極に電流が流れ加熱され、フィラメントから熱電子が管内に放出され、放電が始まります。

放電により流れる電子は、管内の水銀電子と衝突することにより波長253.7mmの紫外線を発生させます。

この紫外線が蛍光物質に照射され、可視光線に変わり、蛍光物質の種類によっていろいろな光色を放ちます。

廃蛍光灯は破砕作業後、ガラスと口金部分に選別されます。ガラス部分は洗浄・乾燥の上、高品位のガラスカレットとして選別・精製されグラスウール工場へ出荷、住宅の壁内で使用する断熱材に生まれ変わります。異物の多いガラスカレットはセメントの原料として出荷されます。破砕作業後、洗浄・分離工程で回収した水銀スラッジは、多段式焙焼炉を通り精製され、高純度の水銀として製品化されます。また選別されたアルミ・口金は、アルミメーカーへ出荷されています。

乾電池のしくみ

 

参考資料

○環境省ホームページ

水俣条約について
http://www.env.go.jp/chemi/tmms/index.html
水銀廃棄物について
http://www.env.go.jp/recycle/waste/mercury-disposal/
水銀廃棄物ガイドライン
https://www.env.go.jp/recycle/waste/mercury-disposal/h2906_guide1.pdf
水銀廃棄物の適正処理について、新たな対応が必要になります。(リーフレット)
http://www.env.go.jp/recycle/waste/mercury-disposal/H2906_setsumei_01.pdf

○経済産業省ホームページ

水銀大気排出対策について
http://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/int/minamata.html
水銀による環境の汚染の防止に関する法律
http://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/int/mercury.html
特定の水銀、水銀化合物及び水銀使用製品等の輸出入について
http://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/02_exandim/08_minamata/